明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
異変の始まり
 一月が経ち、少しずつ夏の面影が姿を消していく。

そして、芽衣の存在を表していたものも、少しずつ目の前から消えて行った。

彼女の机もいつの間にか姿をけし、誰も芽衣の名前を出す事はなくなっていた。



 私と明香たちはあの日以降ほとんど口を聞く事はなくなっていた。

それは芽衣を気遣ってというよりは、話す機会がなかったためだ。

私と明香はもともと性格が合わない。用事がなければ自ずと距離は遠ざかる。

もっとも明香とは金輪際関わりたくないとは思っていたが。


 クラスメイトには明るさも戻り、修学旅行も目前に迫りつつある。次に来る学校のイベントに皆、胸を弾ませ、教室内も活気を取り戻しつつあった。

 それは明香も例外ではない。芽衣が亡くなってすぐは、いつもと違う表情を見せていたが、次第にいつも通りに戻っていく。

ただ、以前よりはおとなしくなった感はあると思う。今までのような、他人を見下す態度は極力とらなくなっていた。

 机の上で開いていた教科書に影がかかる。
 顔をあがるとあゆみが笑みを浮かべていた。

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