明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「彩乃、この宿題のところだけど、どう解くの」
「ここはね」

 私はあゆみの指した部分に視線を落とし、説明を始めた。

 あれ以来あゆみと話をする機会が増え、お互いを名前で呼ぶようになった。逆に奈美と話をする機会はどことなく減った。


「なるほど。ありがとう」

 あゆみは満足げに微笑んだ。

 彼女は他愛ない話をしてきて、それに反応する。
 あゆみの話がおのずと修学旅行へと変わっていった。

「彩乃は京都に言った事ある?」
「ないよ」

 私の学校は毎年京都への修学旅行で観光をする。

 もっと良いところに行きたいという生徒も少なくないが、それはあくまで生徒側の主張でしかない。


 班は既に決まっている。

 私の班は六人グループで、中には明香と親しい子もいる。あまり彼女と関わらない修学旅行にしたいと思っていた。

 明香たちはお決まりのメンバーで、修学旅行の班を組んでいたのでそんなに関わらないだろうと思っていた。

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