明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「どこにいったの？」

「映画館。チケットを親からもらったから、誘ったの」

　話は盛りあがりを見せていく。

　恋愛の話に花を咲かせる状況に私は居場所を見つけられずに財布を手に外に出た。

芽衣のことと、葬式で見た彼の姿を思い出し、そんな話を到底聞く気にはならなかったのだ。

彼女の話を聞き、不快感を覚えるくらいなら、お土産でも見ておいたほうがいい。

　角を曲がった時、背後から聞きなれた声が聞こえる。

「どこに行くの？」


　振り返るとジャージ姿のあゆみの姿があった。

　どうやら彼女も部屋の外に出てきていたようだ。

「おみやげを見に行こうと思って。時間のあるときに見ておいたほいがいいかな、ってね。帰る間際になって慌てて選ぶのもね」

　あくまでそう取り繕う。

「そうだね。わたしも一緒に行っていい？」
「もちろん」

　あゆみは一瞬、目を見張るが、すぐに笑顔を浮かべた。
　私が何を考えていたのか、彼女は察したのかもしれない。
　彼女も芽衣のことをいろいろと気にかけていたのだ。


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