明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「私、トイレ行くから先に入っていて」
「待っておくよ」
「いいよ。悪いから」

 いいといっている相手を強引に待つのも気が咎め、私達はあゆみと別れ、食堂に向かうことになった。


 食堂の襖を開けると、すでにクラスメイトの姿が幾つかあった。私の班の人はまだ誰も来ていないようだ。

 まだ明香の自慢話が繰り広げられているのだろうか。

 私は千津と別れ、自分の班の場所まで来ると、適当に腰を下ろした。

 徐々に人が増え、食堂が騒がしくなる。

 あゆみも途中で出会ったのか、クラスメイトと一緒に入ってくる。

あゆみはその子と途中で別れると、私の隣に座った。

 私の班で到着しているのはあゆみと私の二人だ。

そして、明香の班はまだ誰も来ていない。

「まだ話をしているのかな。遅いね」

 そうあゆみが口にした時、襖をあけ、同じ班の子たちが入ってきた。彼女たちは食堂内を見渡すと、私達のところで視線を止める。

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