明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「古賀さん、私が荷物を預かっておくから、ごはんを食べましょう。後で一緒に探すから」

 さすがの明香もそれ以上は文句を言えなかったのか、佐田先生に鞄を預けると自分の席に着く。

「本当、最悪。めちゃくちゃ高かったのに。だから貧乏人は嫌なのよね」

 彼女はまだ文句を言い、あたりの空気がひんやりとする。そんな明香を周りの友人が必死になだめていた。


 食事が終わると明香たちが先生たちのところまで行く。

「全員の荷物検査をしてください。今なら犯人は私のポーチを持っているはずです」

 明香の主張に先生たちは困り果てていた。

 確かにそれが一番だとは思うが、そこまで行動に移すのは難しいのだろう。

「早くしてください」

「まずは古賀さんの部屋を調べてみましょう。どこかに置き忘れていたのかもしれないわ。それからでも遅くないでしょう」

「どうしてですか? 犯人がどこかに隠したらどうするんですか?」

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