明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 私は優香の許可をもらい、過去のメールの受信履歴を確認した。明香からのメールが三十件届いており、そのどれもが同じような内容だった。

 そのとき、優香の携帯宛にまたメールが届いた。私は優香の許可を経てメールを開ける。

 また明香からだろうと思って開けた私は眉根を寄せる。

 優香ちゃん可愛いね。僕とメール交換しよう。僕は東京都に住む十七歳の高校生です。

 私がそのメールの内容を優香に教えようと思うと、直ぐに別のメールが到着した。

 友達も可愛い子が多いね。でもやっぱり僕は君が一番かな。大人っぽいね。

「優香、どこかにアドレスや写真を載せた?」

 優香は泣くのを止め、ゆっくり顔を上げる。首を横に振る。

 私は迷ったが、そのメールを優香に見せることにした。

「昨日からずっと変なメールが届いているの。ずっと削除していたんだけど」

 優香は青い顔で唇を噛んだ。

 優香は私から携帯を奪うと、電源を切ってしまった。そして、彼女の目からは涙が毀れていた。
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