明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 「悪戯、か」

 私は優香から預かった携帯電話を眺めていた。どこまで悪戯で、どこからがそれ以上になるのかが分からない。


 私はごはんを食べ終わると、あゆみに適当な理由をつけ、教室を出る。

教室内で誰かがこうしたことをしているのではないかと考えると気持ちが落ち着かない。

 今まで携帯からメールが届けば相手からの送信だと信じて疑わなかった。

だが、他の人が成りすましてメールを送る事も可能だ。

その辺りを犯人といっていいのか分からないが、明香たちに何かしている人達はうまく利用しているのだろう。

 私は階段の前を見慣れたクラスメイトが歩いていくのが見えた。

彼女は私の視線に気付いたのか、たまたまなのかこちらを見る。

そしてにこりと微笑んだ。彼女の手に理科の教科書があるのに気付き、私は次の授業が移動教室だったことを思い出した。

「どこ行くの?」

 あゆみは私の言葉に微笑んだ。

「ちょっと図書館に行こうと思って」

「私も行こうかな。いい?」
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