明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 あゆみは笑顔で頷いた。

「私、直接理科室行くから、教科書取りに戻らない?」

 私はあゆみの誘いもあり、一度教室に戻ると理科のテキストとノート、筆箱を手にして教室を再び後にする。

「じゃ、返してくるね」

 私は、図書館の中でいったん、本を返却するあゆみと入り口で別れた。

 私は必要以上に本は読まない。もちろん読書感想文などの必要に迫られれば読むけれど、その程度だった。

 だから見覚えのある本もほとんどなく、ただ本棚を眺めるだけになっていた。

 多分、本を読むのが楽しい人は楽しいのだろうと思う。

 私は何気なく本を手に取った。

 それは日本の古典文学で、誰でも知っている有名なものだった。
 何気なくページをぱらぱらと捲る。読んだことはないけれど大まかな内容は知っている。

 私は本の裏表紙に挟まれている貸出カードに書かれている名前に、芽衣の名前見つけた。

「どうかしたの?」

 あゆみがいつの間にか本を帰したのか、私のところにやってきていた。

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