明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 私は手にしていた本の貸し出しカードを見せる。

「永田さんも本が好きだったんだね」

「そういえば、私が借りた本の貸出カードに名前見つけたことあるよ」

 私はなんとも言えない気持ちになる。彼女の生きた痕跡がここには残っているのだ、と。

 あゆみはその本を借りる事にしたようだ。

 予想外の本を借りてしまったあゆみは一度教室に戻ると、言いだした。

「理科室も近いし、先に行っていていいよ。授業始まっちゃう」

 私は彼女の言葉に頷き、理科室に向かった。
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