明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

「どの本で永田さんの名前を見つけたか覚えている?」

「どうだろう。それっぽいのがあったら教えるね」


 あゆみは困ったように笑う。

「でも、急にどうかしたの?」

「何となくね」

 私は曖昧に答えた。それは私自身、はっきりと言える答えを持っていなかった。

 多分、芽衣の事がもう少し知りたかったと思ったのだ。

 私は教室の扉を開けた。

 そのときだった。

 甲高い声が教室内に響く。

「私の携帯のデータが消えてる」

 クラス中の視線が由紀に集まる。

「携帯置いていたの?」

 真紀は頷いた。

「一番前の席だし、なんとなくね」

「でも、バックアップ取ってるんじゃないの? なら大丈夫よ」

 明香は言うが、由紀は首を横に振る。

「取ってない。写真も全部消えちゃった」

 明香はああと苦笑いを浮かべる。
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