明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「まあ、それなら仕方ないよ。でも、なんで消えたんだろう。どう考えても誰かが意図的に消したんだよね」

 明香の視線が教室内を走る。

「施錠していたわけだから、最後に鍵閉めた人が犯人じゃないの?」

 何人かが顔を見合わせていた。
 そのうちの一人、伊田君がそう名乗り上げたのだ。

「俺だけど、他にも何人か一緒だったし、誰かがそんなことをしていたら気付くよ」

 彼はそう大げさに肩をすくめる。

「ふうん、誰と一緒だったの?」

 明香は冷たい目で伊田君を見据える。

「俺と、岡部と、馬場、羽根田、高橋、村田だよ」

 私はあゆみの名前がでてきたことにドキッとするが、あの時間からだと仕方ないのかもしれない。

「そう。見てないから分からないし」

 明香は大げさに肩をすくめる。
 恐らくその中に犯人はいないと思ったのだろう。

「鍵は伊田君がそのまま持っていたの?」
「日直だしね」
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