明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

 私の学校では移動教室のときは日直が鍵を管理することになっている。

 移動教室であれば手に持っておくし、体育など荷物を持てないときは職員室に返しておくことか先生に預けることが義務付けられているのだ。


「理科室に来たら、すぐに先生が来たし、念のため戻る余裕なんてないよ」
「そうだよね。不具合じゃないの? とりあえず私の番号教えるから登録しておきなよ」

「ありがとう」

 由紀は彼女たちから番号を教えてもらっていた。

「あの、優香の」

 明香はそう言った由紀を睨む。

「ごめん。何でもないよ」

 彼女たちにとってもう優香は友人ではない存在なんだろう。


 それから由紀はクラスメイトの番号を聞きに回っていた。
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