明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
　教室内には既に十人ほどの人が集まっている。中には部活をしているままの格好で集まってる人もいる。

　どうやら加古川さんから連絡を受けた村田さんがすぐに周囲に知らせ、ここまで人を集めるようになったようだ。

　あゆみは既に席についていた。
　私は彼女の席まで行く。

「加古川さんはまだ？」

　私の問いかけにあゆみは頷く。

「もうそろそろ来てもいいと思うんだけど、遅いよね」

　彼女からメールを受けてもう十分経っている。
　放課後クラスメイトを呼び出すには決して短い時間ではない。

　そもそもなぜ加古川絵里子はそんなことをしたのだろうか。

　そう思ったとき、廊下で軋む音がした。

　最初は誰かが通りかかったのだろうと思ったが、その足音が教室の扉のところで止まる。

　絵里子が到着したのだろうか。

　だが、かちゃりと鍵が閉まる音が私たちの耳に届いたのだ。

< 80 / 193 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop