明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「今、変な音しなかった? 鍵のかかる音」

 村田さんの言葉に教室内がざわめく。

 扉に一番近い場所にいる、岡部君が前の扉に触れる。

 だが、先ほど私が入ったばかりの扉がしっかりと占められている。

「鍵、かかっているよ。何でだ」

「閉じ込められた。どうしよう」

 村田さんの目には涙が浮かんでいた。

 その言葉に教室がざわついた。

 普段、どうやって鍵の開閉をしていただろう。

 前の扉は前からしかあかないが、後ろの扉と窓は教室内から開けることができたはず。

「大丈夫だよ。窓や後ろの扉は開くじゃない」

 私はそう声を張り上げて説得する。
 その言葉にクラスメイトも落ち着きを取りも出した。

「そっか。後ろを開ければいいのか」

 扉近くにいた村田さんが後ろのドアを開けようとするが、ぴくりとも動かない。

 後ろの扉は施錠されていない。

「何であかないの?」
「外で何か引っかかっているのかもしれない。外に出てみてみるよ」
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