明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
 岡部君が教室の窓から外に出ようと窓を開けた。

 すんなりと窓の外に出た、岡部が教室の後方に歩みかけ、驚きの声をあげる。

 その言葉にクラスの数人が窓のところに集まったのだ。

「棒がひっかけてあるよ」

 岡部君は木製の棒を手に、後方の扉を開けた。

「誰がそんなことをしたんだろう」

 村田さんは暗い表情を浮かべ、その棒を見つめていた。

「鍵を見てくるよ。そうしたら犯人が分かるはず」
「一人じゃ危ないんじゃない?」

 制そうとした村田さんを、岡部君が大丈夫と説得する。

「それに鍵をあけたまま帰宅はできないよ」

 だが、教室の前の扉のところを通りかかった岡部君が、再び驚きの声をあげた。


「こんなものが張ってあった」

 岡部は一枚の紙切れを差し出した。そこには偽善者と書かれている。

< 82 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop