明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。
「それは明香さんが言えっていったからよ。いじめの首謀者は私じゃないもの。永田さんをいじめるように言ったのは明香さんだもん。文句なら明香さんに言ってよ」

 その時、扉があく。絵里子の顔が青ざめた。

 そこに立っていたのは明香だったのだ。

 教室もまずい雰囲気を感じ取ったのか、一気に静まり返る。

「何?」

 絵里子は怯えた顔で明香を見ていた。

「何でもないよ。今日、髪の毛、つやつやだね」

 絵里子は責められても、明香はまた事情が違うのだろう。

 みんな先程までの威勢は吹き飛び、教室内は静まり返っていた。
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