【短編】2月14日
僕の初恋
「ゆーま!」
僕の名前を呼ぶ君。
教室の隅の席の僕に、ためらいもなく恥ずかしげもなく走り寄ってくる。
「悠真、あのなぁ、今日、すごい良いことがあってぇ、聞きたい?」
小さな顔からこぼれ落ちそうなほどの満面の笑み。
「うん、聞きたい」
「今日な、朝、おとんが真っ白の子猫拾ったんやって!それでな、飼うことになってぇ、どんな名前がええと思う?」
そういうことか。
そういえば猫が大好きなんだっけ。
「さあ、にゃん太とか?」
「アホー、もっとかわいい名前つけんと」
「オスなの?メスなの?」
「まだ聞いとらん」
平然と答えて、また目を輝かせた。
「だから、オスにでもメスにでもつけられる名前を、頭の良い悠真に考えてもらおうと思って、はるばる3組まで来たんよ!さあ!」
「さあって言われても、そんなすぐ浮かばないよ」
「悠真頭ええのに使えんなぁ…んじゃ、帰りまでに考えとき」
「はいはい」
またパタパタと走り去って行く君。
廊下で友だちと合流して、何かを喋っているけど、きっと冷やかされてるんだろう。
君は、僕のことをなんて言ってるの?
ただの、幼なじみ?
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