【短編】2月14日

「好きな人って…もしかして、くるみちゃん…?」

「いや、違うよ」

「じゃあ…誰?」

「言えない」

 涙に濡れた彼女の瞳は僕に何か訴えかけているように感じた。

 その訴えに応じるほど、僕は馬鹿じゃない。

 僕が白状しないのがわかったのか、西城さんは泣きながら僕の前から去って行った。

 直後、タイミングよく君のクラスのホームルームが終わった。

 ぞろぞろと生徒が出てくる中、いつもなら真っ先に出てくるはずの君が、今日はなぜか出てこない。

 教室からほとんどの生徒が出たあと、ようやく出てきた。

「悠真、猫の名前考えた?」

「ああ、そうだな、シロとかどう?」

「なめとんのか!」

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