くすんだ街
人々が心を失い淡々と時間だけが過ぎていく、そんなくすんだ町に今日も一人の少年が足を踏み入れた。

少年の名前はスグル。
彼は、借金のかたにその町にある工場に売り飛ばされたのだ。


スグルは、長い長い間列車に乗って目的の街に辿り着いた。

これからのことを考えて沈むスグルに追い討ちをかけるように、ホームからは無色の街並みが広がっていた。

スグルは空を見上げる。
太陽は顔を出して折らず、もくもくと灰色の雲が空を支配している。

街がくすんで見えるのはそのせいかもしれない。
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