くすんだ街
工場から用意された寮には同じような境遇の少年少女たちがいるはずだった。

友達ができるかもしれないと少しだけ明るくなりかけたスグルの心は、次の瞬間には暗く沈んでしまった。

入り口近くで出会った自分よりも少し幼い少女に工場長がいる部屋を尋ねてみたが、その少女は一言「こっち」と無表情に歩き出したのだ。

廊下ですれ違うほかの子供たちも新参者であるスグルへの興味を示そうとはしなかった。

工場長の部屋も灰色にくすんでいた。
< 4 / 63 >

この作品をシェア

pagetop