くすんだ街
どれくらいの時間が経ったのか、不意に膝のところに温もりを感じた。

視線を落とすと、彼女の手が置かれていた。
彼女は膝立ちになってスグルに向き直っていた。

もう片方の手が肩に置かれる。
スグルは、目前に迫る彼女を見つめた。

ゆっくりと彼女が自分の口の端に唇を重ねる。

彼女の心臓の音が触れた唇から伝わった。

柔らかな彼女の髪の香りが胸をすき、スグルは自分の体が火照っていくのを感じた。

やがて、彼女の体が離れる。

なんだかよく分からない空虚感がスグルの体を駆け巡った。
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