くすんだ街

3

「工場長･･････どうして！？」


トウカは驚嘆の声をあげる。
少年の背中越しに、いるはずのない工場長が冷徹な笑みを浮かべて立っていた。


「たまたま彼が丘をのぼっていく姿が見えましてね」


工場長は、アゴで少年をしゃくりながら言う。


「まったく、油断も隙もありませんね。あなたも治療しないと･･････」
「治療って･･････」


工場長の下卑た笑みにトウカは全てを悟った。

少年をこんな風に変えてしまったのはこの男なのだと――

トウカは工場長を怒りに満ちた眼差しで睨む。

工場長はその視線が心地いいとでもいうように薄く笑うと、懐から取り出した銃をトウカに向けた。

トウカはぎりっと唇を噛む。
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表紙・目次

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