くすんだ街
「……心をなくして生活するのは死んでいることと変わりません」

「それが答えですね」


工場長は、再び銃をトウカに向けなおす。

隙のない眼差し。
逃げられるワケがない。

観念してトウカは少年を横目で見やる。

ゴメンね、あなたのこと助けられなかったよ――

そう心の中で呟いて目を瞑ったその時、スッとトウカの前にトウカを庇うようにして一つの影が躍り出た。
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