美味しいほっぺにくちづけて。
「会いたいよ、空さんに。」



無我夢中で、空さんの着物をぎゅっと握った。


空さんの目に私が写りますようにって願う。



「小海・・・・あーもう!心臓がバクバク言ってる。」



空さんは、自分の心臓に手を当てて、手を握った。それと同時に、空さんを掴んでいた私の手を空さんが強いにほどに握り返す。




「俺さぁ・・・・可愛くて可愛くて、仕方がないんだよ、おまえのこと・・・ドジなのに、バカなのに、ど天然なおまえなのに、可愛くて可愛くて仕方がないんだぁ。」



こっちまで、心臓がバクバクしてくる。


ドジで、バカなのは仕方がない・・自分でも思ってるよ。

けど、天然なのか、私?




「空さん・・・私!!」



あれ、誰かの声と私の声が被った?



「あれ、もしかして空?」



「え、嵐?」


意を消して、私の想いを空さんに知ってもらいたいと思ったとき。


知らぬ人の合いの手が入る。



誰?と、声のする方を見ると空さんの知り合いらしい。空さんに『嵐』と呼ばれた人は、私に気づきにへっと笑った。




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