美味しいほっぺにくちづけて。
「可愛い子じゃん〜、空ちゃんも隅に置けないねぇ!」



「・・・・・まぁ。」



嵐さんと云う人は、空さんを空ちゃんと呼んでいた。空さんは、何となく照れている素振りをする。


男性を『ちゃん』付けする人を余り知らない私は、なんて、可愛いんだと思った。

嵐さんはヤンチャな性格みたいで、ニコニコ笑って、周りを見渡しているみたいだけど・・・・




「誰かと待ち合わせか?」


空さんが、尋ねる。



「そうそう!じゃあ、デート楽しんでね、可愛い子ちゃん♪空ちゃんと長く一緒にいるとなると、これから俺も仲良くしてよなぁ!じゃあ、俺行くわ!!グンナイ!!」



私と空さんは、嵐のような嵐さんに呆気に取られる。私は、思わずくすっと笑みが溢れ、空さんも笑っていた。




「まったく、嵐みたいな奴だな。はは。」



「おもしろい人ですねぇ。」




嵐さんのおかげで、何の話をしていたか忘れるところだよ・・・・



嵐さんが過ぎ去ったところに、清々しい風が吹く。



それから、空さんが嵐さんは高校時代からの友人だと教えてくれた。




「嵐もおこちゃまなんだけどさ・・・・小海も割りかしおこちゃまじゃん?」



「えぇ?」


そうですか?



「でもさ、だんだんとおこちゃまは卒業してくとイイね。」



「まぁ、そうですね。」



「とゆう訳で、繋ぐか?」



「え?」



空さんは、私が固まっているうちに私の手を繋いで来た。

繋ぐその手を空さんが笑って見ていたから、自然と私も嬉しくて、繋いでいる手を見て笑った。

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