美味しいほっぺにくちづけて。
✩episode.5

REY〜レイ〜

あのドキドキした浴衣デートから、一ヶ月が経とうとしていた。


夏休みもあっとゆう間に終りを告げ、いつもの日々に戻りつつある。





「あ、そういえば!」



はっ、として作業台でお客さまにお出しする和菓子を用意していた私に、美玲が思い出したように声を弾ませる。私は、美玲に、何?と首を少し傾げた。




「今日、黄緑公園で野外ライブがあるんだって!私、行こうと思ってるんだけど、うみも行かない?」



美玲は、瞳をキラキラさせて、ちょっと嬉しそうにしている。
余り見たことのない、美玲の姿だ。




「野外ライブ・・・?」



黄緑公園といったら、やたらに大きな木があったりして、緑がいっぱいある、豊かな公園の事だ。



その公園は時々、歌手や演劇や、ミュージカルの舞台になると、咲良さんや、千晴さんが前に教えてくれたことがあったっけ。



そこで、ライブが行なわれるんだ・・・



凄いなぁ、見て見たい。




「うん!有名どころじゃなくてね。これからデビューする、インディーズの人たちが出る、普通ではあり得ないライブ!!」



美玲は、やっぱりどこか足が弾みそうなほどだ。




尚更、行ってみたくなった。



私も、歌が好きだし。




行ってもいいけど、美玲はどこでそんな、すごい情報を仕入れてきたんだろう・・・?




まぁ、美玲は色々なことに敏感だし、音楽とかも好きそうだけどさぁ。




「知ってる人が出たりするの?」





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