美味しいほっぺにくちづけて。
美玲は、ふふふと見たことのない、ときめきだしそうな笑顔で答える。



こんな嬉しそうな顔、見たことないよ。



「ふふ、とっても格好良くって、とっても歌が上手くって、私の大好きな人だよ!」




美玲が、あのいつもツーンとしている美玲が、溢れるほどの笑顔を見せてくれた。




「うみ、行くよね!!!!?」





「・・・え、う、うん。行くよ。」



両手まで握られて、瞳をキラキラさせてまで、普段の美玲からは、見られない姿を、されちゃ・・私も行きたいと思ってしまうよ。




美玲の好きな人が出るライブ・・・・





それからの美玲は、終始嬉しそうに、仕事をがんばっていた。




私も負けずにやらなきゃ!





途中、途中に、和樹は美玲の様子に気付いてか私に、あいつどうしたの?と不信感を抱いたようで、不思議そうに聞いてきた。


和樹にも、今日の黄緑公園でのライブのことを知らせると、なんと和樹も行きたいと言い出しだ。



「和樹も、音楽好きなの?」



「好きもなにも、楽しそうじゃん?」


和樹の言いたいことも分かる。



音楽は、楽しい。
音楽は、魔法を持っていると私は思ってる。





どんな曲でも、歌でも。

そんなことを和樹に言ったら「メルヘンだな。」と鼻で笑われた。

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