美味しいほっぺにくちづけて。
美玲も、和樹も掃除の途中だったので、自分のやることを終わらせようと、咲良さんの歯切れの悪い言葉が気になったが、各々の持ち場に戻る。




私も戻ろうとしたところで、咲良さんに小海、と呼びとめられた。




「はい?」




「もし、違ってたらごめんな。おまえ・・・空のこと好きだったりする?」




「・・・・え、あ、あの・・!」



咲良さんは、何を言ってるの?
私は、かぁ〜と全身の血が回っているのが分かった。




咲良さんの顔を見ると、私を心配そうに見てくれている。




「見てればわかる。・・・あのな、空のことマジで好きだったら、空のこと信じてやってくんねぇか?」


咲良さんは、空さんの親友だけど、咲良さんは空さんの何かを知ってるんだろうか。



「信じるって、何をですか?」



「空の、すべて。」


あいつは、俺たちの仲間で大事な奴・・・だから、と咲良さんは、優しい目をして笑った。




「今日の、あいつを見てやってほしい。おまえに見ていてほしいと思うから。」




咲良さんは、親が子供に頭をぽんとするみたいに、それをして、通りすぎてしまった。



「え、ちょ、ちょっと咲良さん!」



咲良さん、私、頭悪いから良く分かりません。



咲良さんは「今日のあいつを見てやってほしい」って言った。



まさか、空さん・・・・



私は、鳥肌が立つのを自ら感じた。

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