美味しいほっぺにくちづけて。
黄緑公園。


ライブ会場であるそこは、歩いて数十分。歩いて、なんてない距離だ。



駅を跨いで、いろはの面々で歩く。



「千晴さん、大丈夫ですか?」



「え、何が?」



私が、気になってお腹の大きな千晴さんに話しかけると、千晴さんは咲良さんの横で、きょとんとしている。




「あ、歩いてお腹に負担はかかんないのかなって・・・」



だって、もう臨月だったよね?
お店だって、出れるときに出ていいみたいだし。


まぁ、千晴さんは咲良さんの余所に、毎日お店に出ているのだけど・・・



そんな不安な顔をしていた私に千晴さんは、笑い出した。


不安になってるのは、ここにいるみんなも同じだと思うけど。




「ははは、だぁ~いじょうぶ!!妊婦は病人じゃないんだから、運動もしなきゃダメなんだってよ?」



え、でももうすぐ産まれちゃうんでしょ?
お腹に赤ちゃんがいることを経験してない私は、ちんぷんかんぷんだけどさぁ。




「千晴ママは、かなり強くなったよなぁ。」



咲良さんは、千晴さんに寄り添って、肩を易しく抱いている。


あぁ、いいなぁ。
ラブラブ、いいなぁ。


「助けを求めるときは、求めるよ。みんなにドキマギされちゃ困るんだから、頼みますよ!」


千晴さんは、咲良さんの肩に手を回しながら、私たちににこっと微笑んでくれた。


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