美味しいほっぺにくちづけて。
そういえば、今日はどんなアーティストが出るのかな?

美玲が言ってたインディーズの人ばかり出るライブってどんな感じなんだろうか・・・



周りをちらっと見てみる。
隣にいるお姉さんや、後ろの人もみんなドキドキしてるのかなぁ・・・・



ライブって始めてで、手に汗がじわりと滲むのが分かった。

もしかしたら、今日は忘れられない日になりそうな、そんな気がする。




「うみ、はじまるよっ!!」




美玲の声で、私もステージ上に視線を向けた。




ステージ上は、まだ暗いなぁと思っていた瞬間、パッと灯りが灯った。


〜〜♪〜~♪〜~



その瞬間、音楽が流れ初めて、見たことのないバンドのボーカルが、綺麗な声で歌い始めた。





「お兄ちゃん・・・・だぁ。」



・・え、美玲?



美玲に視線を移すと、美玲は見たことがないような横顔で、ステージを見ている。



「お兄ちゃん、なの?あの、歌ってる人?」


私が、すかさず聞くと美玲は、一度もステージから視線を向けずに、頷いた。

美玲のお兄ちゃんなのかぁ、と美玲が興奮して誘ってくれたことが、ストンと負に落ちた。


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