美味しいほっぺにくちづけて。
最後の曲は、不覚にも『レイニーブルー』だった。


私と空さんとで歌った曲。


やっぱり空さんの歌う曲が好きでたまんない。好きすぎて・・・




「小海〜、なぁに泣いてんだよ?」



「そうよ、びっくりしちゃったじゃない!」




曲が終わるころ、泣いている私に気づいた咲良さんと千晴さんが近寄って来て、私の頭を変わりばんこに強いぐらいに、撫でてくれた。



私って頭撫でられるとき多い・・・


二人の暖かい体温にまた、泪が浮かび上がってくる。こんなに泣いちゃってどうしたんだ、私の眼は・・・





「うぅ、なんか・・・・音楽っていいですねぇえ!!」



私は気持ちが高ぶって、胸の高鳴りを押さえられず熱を両手に握り締めた。


空さん・・・・反則ですよ。
何もかも、反則なほど、空さんに私の心は持って行かれた。


私のそんな一言に、いろはの面々はみんなして、ぶわっと笑い出す。




「うみ、興奮し過ぎ。落ち着けよ。」




「うみぃ、うちのお兄ちゃんにそんなにときめいちゃったの?」



「え!?お兄ちゃんっ??」



「今日は、どんでん返しばかりだったなぁ!」



和樹の落ち着けからはじまり(そのとき、和樹にも頭を撫でられる)、美玲は、私の涙を見て笑い出しながら、お兄ちゃんの事を話だし、それに反応して、千晴さんと咲良さんも会話に加わる。




「うし!みんな、ついて来い。」


咲良さんがみんなを見渡してそう云うと、みんなはきょとんと疑問符を浮かび上がらせた。



「咲良ちゃん、どこに?」



千晴さんの問に、行ってからのお楽しみ!と、咲良さんは私を一瞬見たような気がした。
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