美味しいほっぺにくちづけて。
ライブは終わったらしく、熱気はまだ残るものの、疎らに人がその場所を後にしてゆく。


身体はまだ火照っていて、まだ少し興奮している。
ようやく、涙もさほど出なくなり、止まりかけていた。



咲良さんを先頭に、いろはのみんなで後を付いて行く。この時もみんなからはぐれないように必死な私。


私の後に、和樹が付いて来てるから、時々ちらっと見れば、前向けよ、とそう言われて、私は頷き前を見た。


美玲の後を必死に付いて行く。




「裏側・・・?」




美玲が周りを見渡して呟くのと同時に、私もきょろきょろと周りを見渡していた。



木材が置いてあったり、色々な看板が立て掛けてあったり、ちゃんと見て歩かないと転びそうだ。



咲良さんは、ゆっくりとステージ上の裏側にある白いテントに向かっているようだった。


ドクンと胸が響く。
もう一度、胸に手を当て深呼吸を繰り返した。



テントの中からは、笑い声が少し聞こえてくる?
咲良さんの後を追い、咲良さんが私たちをちらっと見ると、その白いテントに顔だけちょこんと入れて、中を伺っているようだった。



「よぉー!」


来て大丈夫だったか?と咲良さんは誰かに聞いてる様で、中の声の人たちが咲良さんの声に気づき、より一層ボリュームを増した。

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