美味しいほっぺにくちづけて。
「入った入った。」



咲良さんは、躊躇することなく自然にテントの中に入って行った。


そんな咲良さんを、千晴さんは慌てて追い掛ける。千晴さんが一瞬、少女のように可愛いらしく見えたのは私だけ?




「ほら、みんなも行くよ?」




千晴さんは、私たち下っ端三人を振り返って見ると、手招きをして、咲良さんに続いてテントの中に入って行ってしまった。



「・・・中に入っていいの?」



「咲良さんと千晴さんが良いって言ってんだから、入っていいんじゃねぇの?」



美玲も慌ててるのか、私と和樹を振り返る。それに答えるように、和樹は中に入ろうと足を踏み入れてゆく。



私は、心臓がドキドキしちゃって、二人の会話に追いつけない・・・



どうしよう・・・中に空さんがいるの?
空さんに会いたい!
空さんは、私をどんな顔をしてみてくれるの?


三人で、あれやこれや言っていると、テントから人が出てきて三人とも、体をビクっとさせてしまう。




「・・・・おーい!なんか可愛い子たちがいるぞぉ〜!!」


私たち三人を見た派手目なその人は、一瞬、私たちを見ると、中にいる人たちに大きな声で伝えると、再びにこっと八重歯を見せて笑った。



あ、ドラムを叩いていた人だ!!


黄色い髪色をして、ちらりと襟足が黒い髪の毛をしているのが見える。
短髪なのに、明るいその人は、また八重歯を見せてニコーっと笑って見せた。



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