美味しいほっぺにくちづけて。
空さんと出会ってから、なんだか前を向けている私がいる。


いつでも空さんがどこにいたって、空さんとの楽しい時間は回想出来てしまうんだ。



そんな空さんとは全然、会えていない今日この頃なんだけどね・・・



でも変わったことがひとつある。
会えないときは、偶にでも空さんは連絡をくれるようになった。

空さんの声を聞くと、嬉しさがつのる。



もう、前のような私はいない。



みんなを羨ましいと、思えば思うほど、私の心は荒れていた私だけど。


そんな私に空さんは話を聞いてくれた。



いつもくよくよしていて、いつも心では人を比較ばかりしていた。




世間には、私よりももっと大変な思いをしている人がいるのに、私は、今までの自分がきらいで仕方がなかったんだ。


空さんに出会って自分を見失わずにいられた。




空さんが私を明るくしてくれたんだよね。



「小海?」




「え、空さん!?」




空さんの事を考えていたから、とうとう幻覚が見えちゃったと一瞬思うが、目の前にいるのは空さんだ。


目をパチクリさせてしまう。




「どうしたんですか?」




「どうしたんですって、配達だけど・・・・」



空さんの手には、昨日仕入れた、仕事で使う物が幾つも袋に入っていて、空さんは私にその袋を渡した。



「え、だってもう音楽活動してるのかなって思ってました。」



「何もない時は、比較的こっちの仕事もしてるよ。」




「そうですか・・・・」



空さんが、いろはに配達に来るのは珍しくないのに、どうしてか、ドキドキしちゃうのは何でだ・・・



緊張しちゃう・・・・好きな人だもん。



それに、久しぶりだしね・・
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