美味しいほっぺにくちづけて。
「恋なんかして、浮かれてて大丈夫なの?」



「はい?」



何を云ってんの?



「和菓子職人目指してるのに、ちゃらんぽらんしてていーのかよ。」



ちゃらんぽらんって・・・


そりゃ、和菓子職人になるには、容易いことじゃない。

数カ月〜数年間勤めたのち、下積みとゆうモノを経験して、下準備をさせてもらうとゆう、私たちの仕事は自分の成果が出るまでに何年ものジレンマが訪れたりする仕事だけどさ。


思い通りが、すぐ形になる仕事ではないし、そのジレンマで和菓子を創るとゆう仕事から遠ざかってしまう人もいる。



「見習いが、恋をしちゃいけないのかな?」



「それは・・・・」



「和樹は、好きな人とかいないの?その人のことを考えて頑張ろうと心の隅から思ったり、笑顔が溢れてきたりしない?」



私は、空さんの笑顔がパワーになって、毎日を頑張ろうって思って、私も笑顔になれたりする。



「和樹は、心配してくれてるんだよね?・・・・でも、恋をしたからと言ったって、私はめげないよ?私は、何年掛かっても、和菓子職人になるって決めてるからさ!!んじゃ、行ってきます〜!」



「あ、おい!!」



和樹が何か言いたそうにしていたけど、私は自転車を走らせた。


うまくいかないって日もそりゃあるよ、でも・・・うつ向いてていいのかな?

空さんが教えてくれた。
うつ向いてちゃ見えて来ないと思うんだ。明るい未来も色々なことも。

私は、何年掛かっても何十年掛かっても、絶対に和菓子職人になってみせる!!


心から、そう思うよ。だから、和樹も一緒に頑張ろう。





そんなことを思いながら、自転車を走らせる私を余所に、和樹は違っていた。




「ったく、パワーをもらってるよ、こっちだって・・・この鈍感野郎・・・」


小海の姿は見えないのに、意識してしまう。和樹の心の呟きは私には、聞こえずにいた。


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