美味しいほっぺにくちづけて。
「なぁ・・・」


「はい?」


空さんはまっすぐな表情で前を向き私に声をかけた。


「俺さ、どうしておまえなんだろうって思ったんだ。どうして、一目惚れしたんだろうなって・・」



「まぁ、ドジな私ですから・・・それはそうですよねぇ。私も不思議ですよ。」


最初はただの、商店街のファミリーだった。

幾つもの日々を過ごして、分かることもあるし、まだ知らないことさえあるだろう。


でも、私を見てくれた。



空さんは、ハハっと笑ったあと、白い息を空気に滲ませる。



「それでも、一緒にいたい。」



歩きながらその言葉だけが透きとおる。空さんの声って、魅力満点で。



空さんの声がダイスキだけど、空さんはもっとダイスキ。




「どんな小海でも、ドジでもがんばってる小海でも、俺にとっては小海だよ。・・・・って、めっちゃむずがゆいな!なんだこれ!恥ずかしい~!!」



「あはは、空さんトマトみたい!!可愛い〜!!でも、超絶嬉しいです!」


空さんは、とてつもなく照れていた。


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