美味しいほっぺにくちづけて。
『・・・空さん?』



3コールぐらいで、眠たそうな小海の声が聴こえた。



「悪い、寝てた?」




『ちょっと、うとうとしてました。でも大丈夫です!今、目が覚めましたよ。』




久しぶりな感じの小海の声。




「なんか、どうしても声聴きたくて。」




『ふふ、あのときも空さんそう言いましたね。』




「あのとき?」



『おばあちゃんが亡くなったとき。』




「あぁ、あのときな。」



あのときは、小海の声が弱々しくて、いても立ってもしてられなくて、早起きして電話をかけたんだったけな。




『私、本当に嬉しかったなぁ。あのときの空さんの電話。』



「今は嬉しくないのかよ~!」



『な、何言ってるんですか!めちゃんこ嬉しいに決まってます!!』



むきになる小海が可笑しくて、俺は宥めた。




『クリスマスライブ行けなくてすいません。。』




「あぁ、気にすんな。」



こいつは、気にすんなって言っても、気にするヤツなんだけどさ。



クリスマスライブは、小海は来れない。仕事だし、仕方ねぇよ。



『空さんの歌、聴きたかったなぁ。。』



「そんなの、幾らでもこれから聴かせてやるから、しょげるなよ。」




『だって〜〜!!!』



悲しそうな声を出すなよ。


俺まで寂しくなるじゃねぇか。



『でも、がんばってね。』



「おう・・・って~」



不意のタメ口止めてくれよ。

可愛いじゃねぇかよ。




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