美味しいほっぺにくちづけて。
ステージ上に立つと、本当に現実なんだなぁと思いやられる。




ステージから見たお客さんたちは、みんな俺たちを待ってくれていた。




五年前からのファンの人たちもいれば、夏のステージで俺たちを好きでいてくれた人たちもいるだろう。



ひとりひとりを思いながら、歌おう。




俺たちの歌が、伝わるように届くように、心を込めて歌いたい。



アイツに届いて欲しいな。



ここに来れなかったアイツの顔が浮かんで来て、いつの間にか、心にポッと灯りが灯った。




『私は、空さんの歌声に励まされたんです。』



アイツの笑顔が浮かんで来る。




小海、泣いたってまた、歩いていけばいいんだよな。



人生は一度切りだもんな。



胸を張って生きて行こうな、小海。



な、大好きな、うみちゃん。



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