美味しいほっぺにくちづけて。
「私は、大丈夫ですよ〜!」



大きく伸びをして、空さんに笑顔を向けて私は、その凛々しい顔を見る。


幾度も見ているのに、空さんのこの甘いマスクに、柔らかそうなちゃいろい髪。


横顔・・・かっこいー・・・



うん、空さんが男前なのは当たり前じゃないの。
いまさら、ドキドキしたって。
 



「なんか・・・おまえが泣いてるの見るの、なんか・・・調子狂うっつーか。」




「・・・・なんか、すいません。誰でもへこんでる姿見るのは嫌に決まってますよね。 それに、空さん・・・」



空さんは、“ん?”と聞いくれると、私は“泣いてませんよ”とお得意の強がりを見せた。


なんで素直になれないんだろうか。



「そっか、それなら良いんだけどね。」




「そうですよぉ、けど・・・ありがとうございます。今、空さんがいてくれて良かったです。」



この業界は覚えることがたくさんある。
時間もかかるし、能力も使う。たまに、私の頭では追いつけないこともしばしばあるけど、今まで続けて来れたのは、お客さまの喜んでくれた、笑った笑顔があるからなのかも。





「小海は、何の曲聴いてたの?」




「これ、ですか?」





空さんにイヤホンを指差すと、空さんは“ん”と短い変事をする。




そうだった、私は空さんに会うまえに音楽を聞こうと思ってたんだ。



空さんは自分の耳に私が渡したイヤホンを入れる。



「今日は、“レイニーブルー”って曲です。ボーカルの声がすごくいいんですよね。」



『REY』とゆうバンドで五年前まで活動していたけど、今は休止しているバンドだ。


私はこのバンドのレイニーブルーとゆう曲が大好きで、落ちこむと良く聴いている。





空さんは、“へぇ〜”と、頷いた。



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