美味しいほっぺにくちづけて。
「この曲、聴くと元気出るんですよね、ものすごく」





私は瞳を閉じて、その曲を聞いた。

アニメの曲や、アイドルの楽曲とか、女性シンガーの、優しく強さを持った歌も好きだけど、今、私が聴いている、曲も素敵なのだ。




ふと横目で空さんを見ると、空さんも目を閉じて曲を聴いているようだった。







「・・・どんな人なんだろう。」



ポツリと不意に呟く。




「え?」



「ほら、この人たちシークレットで顔、見せてくれないから。」



見てみたいな、お顔。



「・・・そういや、そうだな。」






空さんも知っていたらしく、私に同意する。けど、なんか笑ってる?




このバンドは顔を出さない。顔出しNG。声も、歌詞も全て素敵なのに、何故見せてくれないんだろう。



絶対にかっこいいと思うんだ。



「空さんは、どんな曲聴くんですか?」




「俺も色々と聞くよ。」




「でも、空さんの歌もすごかったなぁ。」





「そうか?」





空さんは、いつもはどことなく私をからかうのに、今日の空さんは優しさも備わっているように感じる。



私と空さんは、しばらくの間、土手に座って話していた。主に、私のREYの曲についてだけれども。





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