美味しいほっぺにくちづけて。
「ちょっとは元気出たみたいだな。いつも明るいから、小海は。」




「なんか、すいません。」




私は、そんなに頑丈そうでない。泣きたくなるときは、泣きたいし、今日みたいに、落ち込むときは、落ち込む。




「今日驚いてる。笑っている小海しか見たことないからさ。」




「そうですか?」



「うん。」



私って・・・結構、頑張っていたんだなぁ・・・




「ほら、咲良に怒られてる時も偶に見るけど、お客さんの前では、いつも元気だしな。」





「・・・はは、私って案外、打たれ強かったんだなぁ。」




毎日、誰かしらと話したり、接っしたりする私は、絶えず暗い顔をすることを避けている。
まさか、こんな近くに見てくれている人がいるなんて思わなかった。



「でも、空さんと話せて、本当に元気出ました。ありがとうございます。」




「俺は、何にもしてないよ。」



空さんは、咲良さんの同級生で、私を偶にからかう人。

だけれど、今日はくつがえされたような気分になった。





まさか空さんの歌が聴けるなんて思ってなかった。
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