美味しいほっぺにくちづけて。

無理して笑う奴【空さんSaid】

【空Side】





今まで土手で隣りにいたアイツを思い出していた。


アイツは、もう帰らなきゃ、と俺にお辞儀をするとあっとゆう間に俺からいなくなった。

なんだか、風のような奴だなって思う。
ってゆうか台風のような?





俺が咲良の和菓子屋に行けば、いつも笑顔で出迎えてくれて、いつも笑顔とゆう花を咲かせている。




だけれど、今日はどうしたことか、何やら浮かない顔をしてぼけっと歩いていた。




俺はどうしたんだろうと思った。だって、普段まるっきし元気な姿しか見ていないんだし、どうしてか気になったんだ。


咲良がいつも手を焼いているらしい小海。


何かやらかすかいつもヒヤヒヤもんらしい奴・・・小海。





小海が咲良の和菓子屋に入って来たのは、三年前だ。その時から、顔見知りだし、咲良や千晴ちゃんや、ゆかりさんが心配するのも分かる。



他の奴らよりも、何かやらかしそうだもんな、アイツ。
けど、みんなに可愛がられてしまう、愛嬌のあるそんな奴だ。


それでも笑顔で、出迎えてくれるのは客として本当に嬉しいことなんだぜ?






時々だけど、泣きそうになってるのに、無理して笑ってるように見える。

無理をして、子供のように親を安心させるみたいな笑顔は俺の胸を締め付けていた。


泣きたきゃ泣けばいいのに。


そりゃ、そうか。
泣き顔を見せるほど、知り合いってワケでもねぇしなぁ。


俺とおまえは、お客と店の人ってワケだし。






ふと、夜空を見上げると夏も間近だからか星が挨拶をしつるように見えて、ふと前を向いたとき小海がいた。



一瞬、歌ってるところを見られからビクっとしたけど、


小海なら良いかなと思っていたんだ。


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