美味しいほっぺにくちづけて。
俺も帰るか、と腰を上げた時、俺の携帯が鳴る。
電話をして来たのは、咲良だった。さっきまで一緒にいた小海の和菓子屋の亭主だ。
コイツは、小学生のときからの腐れ縁で、古くからのダチだ。
小学生のときに入っていた野球チームもコイツと一緒に入った。
俺は、中学から柄に似合わす吹奏楽部に所属したが、咲良は野球を続けていたっけな。
俺は、携帯を片手に耳に当てる。
『あ、空?俺だけど』
「おう、どした?」
土手の芝生から小道に移動しながら咲良の話を聞く。
電話の向こうからは何だか歯切れの悪い咲良の様子が伺えてきた。
「あー・・・」
「なんだよ?」
今度は俺がため息をつきそうになり歯切れが悪くなると、咲良が話し始めた。
「銀河から連絡来たんだよ・・おまえの調子はどうだってさ」
「あー・・・あいつに連絡してねぇや。」
しろよ、と咲良が言う。