美味しいほっぺにくちづけて。


「小海ちゃん〜!これ、サービスでつけといてあげるね。」




「わぁ〜、ありがとうございます!」



今、まさにお使いの途中だった私は、八百屋さんの奥さんに帰り際声をかけられ心の中でやったぁ〜とガッツポーズをする。



美味しい日本茶とお抹茶、季節ならではの生菓子などを提供しているこの商店街の和菓子屋『いろは堂』。

そこで働いている私は、度々、今のようにサービスをしてもらえるようになった。


この八百屋さんもいつも良く使わせてもらっているから、もう顔馴染みだ。


笑いが耐えない賑やかな商店街には、たくさんの笑顔とやる気と、愛情が溢れている。


笑い合い、お金を受け取り、またいつものスカイブルー色の自転車にまたがり、次のお店へ向かう。




「次は、お肉屋さんっと!」




私の実家でもこういった商店街があって、ここにいると毎日、懐かしい場所に帰って来ている気分にもなる。



実家のお店も和菓子屋をしているからだろうか。

だから、ちょっと懐かしいのかな。


私、椎名小海(こうみ)は、今日も頭の中はおいしくて甘いモノでいっぱいだ。



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