美味しいほっぺにくちづけて。
「おまえのほっぺ、もちもちしてそう。」




「なんですか、それ。」



空さんは、そう言いながら、すぐ横にあるギターケースからギターを取り出した。
私に、“もちもち”だの言いながら、クスクスと笑う空さん。



空さんの手にしたギターは、茶色いアコースティックギターだった。



「アコギだ。」




「良く知ってんじゃん。」




「昔、お父さんが弾いてくれたんです。もう、弾いてないんじゃないかな?」




空さんは“そっか“と、またジャングルジムを背もたれにして、ギターに触れた。


ギターの弦を見ているから、伏せ目になるその目が、何故かかっこ良く見えた。



凛ちゃんだって、“空さん、かっこ良いよね”と言っていたことを思い出す。




「一番、俺が歌うから、二番はおまえ歌えよ。」




「えぇ!!」



空さんは、ギターを軽やかに引き始め、偶にギターを見つつ、私を見た。


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