美味しいほっぺにくちづけて。
「おいおい、どうしたんだよ。」



「なんだか、感激しちゃいまして・・・!」




空さんは“感激屋だな”と、やっぱりクスクスと笑って私の頭を優しく撫でてくれる。



「空さん、歌上手ですね!REYのボーカルみたいでした。」




「実は、俺もこの曲好きなんだ。この曲が売れたころ、俺もめっちゃ練習したんだよ。」




「そうなんですか!」




空さんの見たことのない、照れた表情。声が、身体に入ってくる。



私は、おばあちゃんの体調が悪いこと、そして入院したことを、自然に口にしてしまっていた。



なんか、空さんになら言いたくなる。





「すいません、こんな話しちゃって、本当にすいません・・・」



「謝んなよ。話してくれてありがとう。だから、落こんでたんだな。けど、俺・・・・小海が笑ってくれると、なんでだろ・・・嬉しいや。」




・・・空さん・・・




ヘヘと笑う空さんは、また照れたように笑っている。





「小海がつらいときは、またこうやってギター弾いてやるよ。あたりまえだけど、そのときはおまえも」



「歌うんですか?」



空さんは、“分かってんじゃん”とにこやかに微笑む。
空さんは、笑うと表情が緩んで、優しくなるんだ。




「元気になりました。」




「良かった、小海が元気がないと・・・俺も元気でない。」



空さんは、平然なような、照れたような、どっちとも取れる表情をする。



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