美味しいほっぺにくちづけて。

唄ってやりたい奴【空さんSaid】

【空サイド】





「ヒーローみたい・・・・」




こんな俺のことを、ヒーローだなんて云う奴は小海ぐらいだろう。


最近の小海は、いつも浮かない顔をしている。



俺が気づかないとでも思ったか?




そして、偶々会う確率も高い。



・・・・いいや、それは嘘。俺が会えるかなって思って、時間を見計らって出歩いてるから。


アイツに会えるかなって、少し期待してるんだぞ俺は・・・知らないよな、小海は。



アイツの泣き顔を見て、俺は少しホッとしたんだ。いつも気を張り巡らせて、失敗しないようにしている小海。

俺にはそう見えるから、小海が泣いたとき不思議と安心感が生まれたんだ。

けど、泣いてるよりは笑ってる方がやっぱりいいよな。
泣いてると、シアワセはやってこないと思ってるし、そう心を切り替えられた俺が今いる。




会えないと思っていた奴に出会えた時の胸の高鳴りはハンパねェすよ。


その反面モヤモヤするんだ・・・なんでだと思う?



「みんなは、唄を届けたいと思う人はいるのか?」



そんなことを仲間に聞いたそんな夜のことを思い出していた。



銀河と電話をしたあの日、約五年ぶりに奴らと会うことが出来た。



アイツらと、またこんな風に話せるようになるなんて思わなくて、すげー嬉しくて、俺は、俺でいようと心の底からいようと思えた。


小海に唄を歌えたのも、その仲間のおかげだ。



なんでだろう・・・・小海が笑うと嬉しいし、ずっと見ていたくなる。


そう気づかせてくれたのは、仲間が俺の心を溶かしてくれたから。


話は、少し遡る。
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