美味しいほっぺにくちづけて。
「あれ、もう飲んでんの?」




しばらくして、昴がやって来た。


テーブルには、お通しや、嵐や銀河が既に食べるもんを注文していたらしく、自らが呑む酒も並んでいた。


昴は、俺や、嵐、銀河を見てニッコリ笑うと、俺の隣りに座った。


昴が自然体でいてくれ、俺は泣いてしまった。



自然に会話をしてくれる昴に心が広いと思った。



「なぁ〜に、泣いてんだよ。」



「俺、おまえに悪い事した。それなのに、おまえは俺に・・・」



昴は、いたずらに笑うと話出した。



「俺さ、あの時後悔した。もっと、空と分かり合えるにはどうしたらいいのか考えもしなかった。俺は自分の事しか考えてなかった。空は、俺らのグループのことをいちばんに考えていたのに、俺は、家族のことばかり考えていた。」


違う!


「それは、違う!家族のことを考えるのは当たり前じゃないか!家族なんだから、当たり前だったんだ。俺が、周りが見えていなかったんだ。人から理解されるおまえに少し嫉妬してた。
昴の母ちゃんが生死を彷徨ってるってときに、俺は売れることしか頭になかった。俺のほうだよ、自分の事しか考えてなかったのは。」


描いていた夢を掴み、行動していくのは、難しかった。


それは、昴も同じだったんだ。




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