美味しいほっぺにくちづけて。
「・・・・・・・失恋か?」




ポポをいじりながら、空さんは私に問いかける。私は、いきなり、そんなことを聞かれたものだから、何を言われているのか一瞬、迷ってしまった。




「ふふ、失恋なんてしてませんよ。」




思わず笑みが溢れてしまう。




「なんで、笑うんだよ。」



空さんは、ちょっと恥ずかしそうに私をちらっと、見たあとすぐ、ポポへ顔を向けてしまった。



失恋したことなんて、すっかり忘れていたから。




「もしかして、私が・・・・伊吹さんを・・その、好きだったこと知ってました?」




私が空さんに聞くと、空さんは頷いた。




そうだったんだ・・・・空さんには、バレていたんだ。



けど、今は何故か・・・伊吹さんに恋をしていた自分が不思議に思えてくる。


まったくと言って良いほど、伊吹さんに恋をしていた私はいない。

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