美味しいほっぺにくちづけて。
✩episode.4
知らせ
「七星祭りの準備、進んでるか?」
咲良さんに聞かれ、私たち3人は声を揃えて『はい』と答えた。
お客さまが丁度途切れた頃、私たちは密談中。主に七星祭りのことについてだ。
七星祭り(ななほし)は、この商店街で行われるお祭りだ。屋台や、盆踊り、打ち上げ花火などの申し者が2日間行われる。
私たち、いろはの面々も毎年、この行事に参加している。千晴さんは、妊婦さんだから、安静にしてもらうつもりだ。
昨年は、いろはで抹茶に合うお菓子を用意し、空さんに、お抹茶を点ててもらい、街や、お店に来てくれるお客さまに振る舞った。
初めて、空さんのお茶の点て方を見て、素直にかっこ良かったのを覚えてる。
茶筅や、それに担ったお茶碗や、カフェオレボウルなども、見るのも楽しかった。お菓子は、抹茶のフィナンシェと、生チョコレートを作った。
私たちも、それぞれに浴衣を着て下駄を履き、かんざしを着け着飾った。
咲良さんが、千晴さんの浴衣姿を褒めていたっけな。
空さんも、渋い着物を着ていたのが鮮明に蘇る。